ウェブ小説 アジア

陽炎の島(15)

 誰かが私の名前を呼んでいる。聞き憶えのある声だ。思い出そうとして面倒になって止めた。劉さん。劉さん...

陽炎の島(14)

 恩を重んじる闘魚のお陰で赤ん坊の命は救われた。秀麗は暑熱が肌にまとわりついて胸苦しいほどの七月の午...

陽炎の島(13)

 ライチの一番美味しい季節が来た。秀麗は腹の膨らみを薄物で隠せなくなって売り子を休業した。アパートに...

陽炎の島(12)

 不動産屋を探し回って見つけたのは、オートロック式の1DKのアパートだった。家賃は高くても、私の学校...

陽炎の島(11)

 三月の句会を終えて台北楼の入り口を出たら王子能が追いかけて来た。 「知り合いに小さな出版社やってる...

陽炎の島(10)

 翌日になっても秀麗からの連絡はなかった。スタンドへ押しかけるのは気が引けたので、会って話をしようと...

陽炎の島(9)

 七十年を超える歳月を生きてきて分かったのは、人の生涯にいくつかの法則があることだ。中でも私を悩ませ...

陽炎の島(8)

 呉嘉徳が死んだ。看護婦が朝の検温の時、寝たままなので不審に思って呼びかけると、すでに息がなかった。...

陽炎の島(7)

 娘を死なせたというのはあながち嘘ではない。母はまだ三十歳をいくつか過ぎたばかりで死んだ。一度は恢復...

陽炎の島(6)

 靄のような切れ切れの雲をまとった朧な満月の下の、ネオンと蛍光灯の光が眩しい硝子張りの四角い箱の中で...

陽炎の島(5)

 私の血管に日本語が入ってきたあの頃、老いの果ての死はずっと遠くにあったし、戦争もまだ身近に迫ってい...

陽炎の島(4)

 小籠包の美味しいレストランとして、日本人向けの旅行案内に載っている公館地区の台北楼は、月末の日曜に...

陽炎の島(3)

 台湾を旅行する日本の若い娘に、どこで日本語を学んだのか、と訊かれたことがある。私は少し意地悪く、...

陽炎の島(2)

 台北北駅から中正国際空港までは、バスで一時間の道程だった。タクシーに乗り変えて、椰子が湿気を含んだ...

陽炎の島(1)

 私は歳時記のゲラ刷りを手に取って、銀の柄がついたドイツ製の天眼鏡越しに確かめる。老眼鏡だけでは細か...

陽炎の島(1)

 私は歳時記のゲラ刷りを手に取って、銀の柄がついたドイツ製の天眼鏡越しに確かめる。老眼鏡だけでは細か...

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三国志に学ぶ勝利学

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見果てぬ祖国

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